アナタは警戒しなさ過ぎよ。


「男はオオカミなのよ?」

くったくなく笑いかけてくるアカリに、アタシ言ったの。
そりゃあ、葛藤はあったわ。
無垢な笑顔を強張らせてしまうんじゃないか、って。
でもね、アカリが距離を置いてくれないとアタシ、たぶん、強張らせるどころじゃないことアカリにしてしまいそうだったの。
嫌よね。
女の子にとって、男の力で思うようにされることが、どれだけ恐怖か…アタシには想像しか出来ないけど、きっとすごく、すごく怖いんだと思うわ。
アカリを傷つけたくない。
だから、少しは警戒してほしかったの。アタシを。
なのに。


「だったら、ジュリさんは、薄紫色の綺麗なオオカミさんなんだねえ」


アナタ、警戒、しなさ過ぎよ。


あんまり警戒しないもんだから、オオカミになる気も失せちゃったわ。
あんまり笑顔なんだもの。

耳を生やすのは、もう少し待っててあげる。
尻尾を出すのも、まだ早いと思うわ。

いつかアタシがオオカミになっても、アカリは、綺麗なオオカミさん、って言ってくれるかしら。

そうだったらいいわね。


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